2025年10月14日


「昨日の夜から急に高熱が出て、体中が痛い…これってインフルエンザ?」「子どもの咳がひどいけど、風邪なのかインフルエンザなのか分からない」「会社を休むべきか悩んでいる」
このような症状で困った経験はありませんか?インフルエンザと風邪は似ているようで全く違う病気です。正しく見分けることで、適切な治療や対処ができ、周囲への感染拡大も防げます。
この記事では、2025年最新の医学情報に基づき、インフルエンザの症状と風邪との違いを詳しく解説します。症状の現れ方から受診のタイミングまで、あなたが安心して判断できる知識をお伝えします。
インフルエンザの基本的な症状

インフルエンザの典型的な症状
インフルエンザの症状は、急激な発症が最大の特徴です。まるで「昨日まで元気だったのに、朝起きたら別人のよう」という表現がぴったりです。
主要症状
・高熱(38℃以上):多くの場合39℃を超える
・強い全身倦怠感:「体が鉛のように重い」感覚
・筋肉痛・関節痛:特に腰や手足の関節
・頭痛:ズキズキとした強い痛み
・寒気・悪寒:震えが止まらない
呼吸器症状の特徴
インフルエンザでは呼吸器症状は後から現れることが多いです。
・乾いた咳:最初は痰が出にくい
・鼻水・鼻づまり:風邪ほど強くない場合が多い
・のどの痛み:軽度から中程度
感染症専門医によると「インフルエンザは『風邪の親玉』と考える人がいますが、実際は全く異なる病気です。風邪が徐々に症状が重くなるのに対し、インフルエンザは突然重い症状で始まるのが特徴です」と説明しています。
インフルエンザと風邪の根本的な違い

原因ウイルスの違い
インフルエンザ:インフルエンザウイルス(A型、B型、C型)
風邪:ライノウイルス、コロナウイルスなど200種類以上
この違いが、症状の現れ方や重症度に大きく影響します。
発症パターンの違い
インフルエンザの発症パターン
まるで「スイッチを入れたように」急激に症状が現れます。多くの患者さんは「○時頃から急に具合が悪くなった」と時間まで覚えています。
風邪の発症パターン
「なんとなく鼻がムズムズして、だんだん咳が出るようになって…」というように、階段を下りるように徐々に症状が進行します。
症状の重さと持続期間

インフルエンザ症状の時系列変化

発症1日目:突然の高熱と悪寒
典型的な経過
・朝は元気だったのに、午後から急激に体調が悪化
・38.5℃以上の高熱
・震えるような悪寒
・強い頭痛と全身倦怠感
発症2~3日目:症状のピーク
症状の特徴
・最も辛い時期
・高熱が持続(39~40℃)
・強い筋肉痛・関節痛
・食欲不振、水分摂取も困難
この時期の注意点
・無理をせず安静にする
・水分補給を心がける
・解熱剤の使用を検討
発症4~5日目:徐々に改善
症状の変化
・熱が下がり始める
・咳や鼻水が目立つようになる
・全身症状は軽減するが、まだ体力は回復していない
発症6~7日目:回復期
回復の兆し
・平熱に戻る
・食欲が戻り始める
・ただし、完全回復にはさらに数日必要
重要なポイント
熱が下がっても感染力は残っているため、発症から5日間かつ解熱から2日間は外出を控える必要があります。
風邪との症状比較表
詳細症状比較

見分けるコツ
「インフルエンザかも」と思ったら
- 発症が急激だったか振り返る
- 38.5℃以上の高熱があるか確認
- 全身の筋肉痛・関節痛があるかチェック
これら3つが揃っていれば、インフルエンザの可能性が高いと考えられます。
年代別の症状の特徴

乳幼児(0~5歳)の症状
特殊な症状
・熱性けいれんを起こしやすい
・嘔吐・下痢が主症状の場合もある
・不機嫌、食欲不振が顕著
・鼻づまりによる哺乳困難
親が気づくサイン
・いつもより機嫌が悪い
・ミルクや母乳を飲まない
・呼吸が浅く、早い
学童期(6~12歳)の症状
典型的な症状
・大人とほぼ同様の症状
・学校での集団感染が多い
・腹痛を訴えることがある
学校への対応
・発症から5日間かつ解熱から2日間は出席停止
・兄弟姉妹への感染対策も重要
成人(13~64歳)の症状
働く世代の特徴
・仕事への影響を心配して受診が遅れがち
・ストレスや疲労で症状が重くなることも
・家族への感染を心配する傾向
高齢者(65歳以上)の症状
注意すべき点
・熱が出にくい場合がある
・合併症のリスクが高い
・肺炎を併発しやすい
・持病の悪化に要注意
家族が注意すべきサイン
・いつもよりぼんやりしている
・食事量の減少
・息苦しそうにしている
受診判断の基準と危険信号

すぐに受診すべき症状
緊急度:高(救急外来も考慮)
・40℃を超える高熱
・呼吸困難、息苦しさ
・意識がもうろうとしている
・けいれんを起こした
・水分が全く取れない
緊急度:中(当日中の受診を推奨)
・38.5℃以上の発熱
・強い頭痛
・嘔吐が続く
・胸の痛み
医療機関選択のポイント
平日・日中
・かかりつけ医への相談
・内科クリニックでの診察
夜間・休日
・夜間急病センター
・救急外来(重症時のみ)
事前連絡の重要性: 感染拡大防止のため、受診前に必ず電話連絡しましょう。多くの医療機関では、インフルエンザ疑いの患者さん用の入口や診察室を用意しています。
自宅療養の判断基準
自宅療養可能な場合
・意識がはっきりしている
・水分摂取ができている
・呼吸に問題がない
・既往歴に重大な疾患がない
家庭での対処法と注意点

基本的な対処法
安静と睡眠: 症状改善の最も重要な要素です。「薬で治す」のではなく、「体の免疫力で治す」ことが基本です。
水分補給
・経口補水液がベスト
・常温または温かい飲み物を少しずつ
・避けるべき飲み物:アルコール、カフェイン多量のもの
解熱対策
・解熱剤:医師と相談の上、適切に使用
・物理的冷却:おでこや脇の下を冷やす
・薄着:厚着しすぎない
家族への感染防止策
基本的な予防措置
・患者の部屋を分ける
・マスクの着用(患者・家族ともに)
・手指消毒の徹底
・換気の実施(1時間に2回、5~10分)
具体的な生活の工夫
・食事の時間をずらす
・タオルや食器の共有を避ける
・患者が触れた場所の消毒
食事と栄養管理
症状が強い時期(1~3日目)
・無理に食べなくても大丈夫
・水分補給を最優先
・消化の良いもの:おかゆ、うどん、バナナ
回復期(4~7日目)
・栄養価の高い食事を心がける
・ビタミンC豊富な食品
・タンパク質で体力回復
よくある質問

Q1. インフルエンザの症状はいつから現れますか?
A1. ウイルス感染から1~3日後に症状が現れます。特徴的なのは急激な発症で、「朝は元気だったのに夕方には高熱」というパターンが典型的です。
Q2. 熱が下がったら外出してもいいですか?
A2. いいえ、危険です。熱が下がっても感染力は残っています。発症から5日間かつ解熱から2日間は外出を控えてください。これは学校保健安全法でも定められています。
Q3. インフルエンザと診断されたら、必ず薬を飲む必要がありますか?
A3. 症状や発症からの時間によります。抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内の使用が効果的です。軽症の場合は対症療法のみの場合もあります。医師と相談して決めましょう。
Q4. 家族がインフルエンザになった時、自分も病院で検査を受けるべきですか?
A4. 症状がなければ不要です。ただし、高リスク者(65歳以上、妊婦、基礎疾患がある方)は予防的な治療を検討する場合があります。かかりつけ医に相談してください。
Q5. インフルエンザの症状で最も危険なものは何ですか?
A5. 呼吸困難と意識障害です。これらの症状が現れたら緊急受診が必要です。特に高齢者や基礎疾患のある方は注意深く観察してください。
Q6. 市販薬だけで治すことはできますか?
A6. 軽症の場合は可能ですが、解熱剤や咳止めは対症療法です。根本的な治療ではないため、症状が重い場合や改善しない場合は必ず医療機関を受診してください。
Q7. 子どもの症状で特に注意すべき点はありますか?
A7. 熱性けいれんと脱水症状に特に注意してください。水分が取れない、ぐったりしている、意識がはっきりしない場合は緊急受診が必要です。
まとめ:正しい判断で適切な対処を

インフルエンザは急激な発症と強い全身症状が特徴的で、風邪とは明確に区別できる病気です。38.5℃以上の高熱、強い倦怠感、筋肉痛が揃っていれば、インフルエンザの可能性が高いと考えられます。
重要なポイント
・早期の正確な判断が回復への第一歩
・適切な受診タイミングで合併症を防ぐ
・十分な安静と水分補給が基本的な対処法
・感染拡大防止のための外出制限の徹底
今すぐできること
・症状をメモして客観的に判断
・かかりつけ医の連絡先を確認
・家庭内感染防止の準備
症状が現れたら慌てず、この記事の内容を参考に冷静に判断してください。迷った時は医療の専門家への相談が最も安全です。あなたとご家族の健康を守るため、正しい知識で適切な行動を取っていきましょう。
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この記事の監修医
永松 裕紀 医師
池袋駅前内科・皮膚科クリニック 院長
東京医科大学医学部医学科卒業後、東京医科大学八王子医療センターおよび
国際医療福祉大学三田病院にて、呼吸器外科診療に従事。