2025年6月01日

「今年のインフルエンザワクチンはやばい」という声を、①効かない ②副反応が増えた ③供給不足 の3つに分けて検証しました。2026-2027シーズンの選定株、発症予防・重症化予防の実数値、接種を見送るべきケースまで、池袋駅前内科・皮膚科クリニックが院長監修のもと解説します。
こんにちは、池袋駅前内科・皮膚科クリニックです。「去年は打ったのにかかった」「副反応が心配」「今年は流行が早いらしい」——診察室でもよく伺う声です。
この記事は、公的機関が公表している一次情報だけを整理したものです。接種をおすすめするための記事ではありません。判断の材料としてお読みください。
この記事の結論(2026年9月12日時点)
- 「やばい」は ①効かない ②副反応 ③供給不足 という別々の話が混ざったもの
- 今シーズンは8月に全国で流行入り。例年よりかなり早い
- 製造株はA型2株・B型1株の計3株。3株とも前シーズンから変更
- 供給量は約5,190万回分の見込みで、不足が見込まれる状況ではない
- ワクチンは発症を完全に防ぐものではないが、重症化を抑える効果が報告されている
こんな方に読んでいただきたい記事です
- ✓ SNSやニュースで「今年のワクチンはやばい」と見て不安になった方
- ✓ 打つかどうか迷っていて、判断材料がほしい方
- ✓ 去年接種したのにインフルエンザにかかり、効果を疑っている方
- ✓ ご家族に高齢者や基礎疾患のある方がいて、判断に迷っている方
当院の接種条件(13歳以上・1回3,500円)はインフルエンザ予防接種のご案内でご確認いただけます。
1|「やばい」と言われる3つの理由を検証
「やばい」という言葉には、性質の違う3つの話が混ざっています。分けて見ると、それぞれ確認できる事実があります。
「今年は効かない」と言われる根拠と実際
根拠のひとつは流行の立ち上がりが早いことです。ただし流行が早いことと、ワクチンが効かないことは別の話です。
- 2026年第34週(8月17〜23日)に全国の定点あたり報告数が1.11。流行開始の目安1.00を超えました
- ワクチン株は前シーズンまでの流行状況をもとに毎年選び直すため、実際の流行株と一致しない年もあります
- 厚生労働省も「接種すればインフルエンザに絶対にかからない、というものではありません」と明記しています
「副反応が増えている」と言われる根拠と実際
今シーズンに副反応が増えたという公的な発表は、2026年9月12日時点で確認できていません。
- 局所反応(赤み・腫れ・痛み):10〜20%程度
- 全身反応(発熱・頭痛・だるさ):5〜10%程度
- いずれも通常2〜3日で軽快。例年示されている数字で、今シーズンだけ高いわけではありません
「ワクチンが足りない」と言われる根拠と実際
今シーズンの供給量は約5,190万回分の見込みで、近年の平均使用量を上回るとされています。(厚生労働省予防接種課 2026年8月26日/販売開始は9月下旬から)
ただし供給量と、特定の医療機関の在庫は別の話です。接種時期が決まっている場合は事前予約が確実です。
SNSの情報を確かめる2つの視点
- 誰が発表した情報か — 厚生労働省/国立健康危機管理研究機構/東京都感染症情報センター/PMDA が一次情報です
- いつの情報か — 年次が書かれていない数字は要注意です
- その数字は誰を対象にしたものか — 対象が違えば数字は大きく変わります(3章で詳述)
2|2026-2027シーズンで実際に変わった点
製造株が3株とも入れ替わり、流行の立ち上がりが例年より早く、経鼻・高用量ワクチンの扱いにも動きがありました。
今シーズンの製造株(3株とも変更)
| 型 | 2026-2027シーズンの製造株 |
|---|---|
| A型(H1N1) | A/スイス/6849/2025(IVR-278) |
| A型(H3N2) | A/ミシガン/105/2025(SAN-049A) |
| B型(ビクトリア系統) | B/東京/EIS13-175/2025 |
出典:東京都感染症情報センター(2026年6月18日更新)
ワクチン株とは、その年のワクチンを作るために選ばれたウイルスの種類です。前シーズンまでの世界的な流行状況をもとに、毎年選定されます。
流行の立ち上がりが例年より早い
2026年は8月の時点で全国が流行入り
- 第33週(8月10〜16日)0.69 → 第34週(8月17〜23日)1.11
- 流行開始の目安である1.00を超えました(厚生労働省 2026年8月28日公表)
- ワクチンの効果が出るまで約2週間。流行が早い年は判断を先延ばしにしにくくなります
経鼻ワクチン(フルミスト)・高用量ワクチンの扱い
| 種類 | 今シーズンの状況 | 当院の取り扱い |
|---|---|---|
| 注射型(不活化HAワクチン) | 通常どおり供給 | あり |
| 経鼻弱毒生(フルミスト) | 2023年承認・任意接種として実施 | なし |
| 高用量(60歳以上対象) | 定期接種への導入見送り・発売延期 | なし |
経鼻弱毒生ワクチンとは、注射ではなく鼻の中に噴霧するタイプです。厚生労働省が示している数値は薬事承認申請時の資料に基づくもので、小児および若年者を対象とした発症予防効果が28.8%、接種後の発病頻度が1.8%とされています。注射型とは仕組みも対象年齢も異なるため、どちらが優れているという比較はできません。
3|効果はどのくらいか──「意味がない」という誤解の正体
「効果がない」と言われる背景には、発症予防の数字と重症化予防の数字の混同があります。この2つは別の指標です。
| 対象 | 報告されている効果 | 出典 |
|---|---|---|
| 高齢者福祉施設に入所している65歳以上 | 発病を34〜55%阻止 死亡を82%阻止 |
厚生労働省 ARI総合対策に関するQ&A |
| 6歳未満の小児(2015/16シーズンの研究) | 発病防止の有効率 60% | 厚生労働省 |
この数字を読むときの注意
- 82%は「高齢者福祉施設の入所者の死亡を阻止した割合」です。すべての人に当てはまる発症予防率ではありません
- 60%は6歳未満の小児を対象とした数字です
- 対象を書かずに数字だけを並べた記事が、この誤解を生んでいます
「打ったのにかかった」=失敗ではない理由
接種してもインフルエンザにかかることはあります。理由は主に3つです。
- その年に流行したウイルスと、ワクチン株が一致しなかった
- 接種後に十分な抗体ができるかどうかには個人差がある
- 接種から効果が現れるまでの約2週間のあいだに感染した
ワクチンに期待されているのは、発症を一定程度防ぐ効果に加えて、発症した場合に肺炎などの合併症や入院といった重症化を防ぐ効果です。かかったかどうかだけで効果は判断できません。
効果が出る時期と、いつまでに打てばよいか
- 効果が現れるのは接種のおよそ2週間後から
- その後数か月程度持続すると考えられています(個人差あり)
- 厚生労働省は「12月中旬までに接種を終えることが望ましい」としています
- 流行のピークは1月末〜3月上旬。12月以降の接種でも効果は期待できます
「自分の場合はどうか」は、体調や持病によって変わります。当院では接種前の問診で個別にご相談いただけます。
4|「打たない方がいい」のはどんな人か
インフルエンザワクチンは任意接種であり、強制されるものではありません。一方で、接種できない状態と見送った方がよい状態ははっきり決まっています。
接種を受けることができない方(禁忌)
- 明らかな発熱がある方(通常、体温が37.5℃以上)
- 重い急性の病気にかかっていることが明らかな方
- インフルエンザワクチンの成分でアナフィラキシーを起こしたことが明らかな方
- その他、医師が予防接種を行うことが不適当と判断した方
接種はできますが、医師の慎重な判断が必要な方
診察の際に必ずお申し出ください。
- 心臓血管系・腎臓・肝臓・血液の疾患、発育障害等の基礎疾患がある方
- 過去に予防接種後2日以内の発熱、発疹・じんましんなどが出たことがある方
- けいれんを起こしたことがある方
- 免疫不全と診断されたことがある方、近親者に先天性免疫不全症の方がいる方
- 間質性肺炎、気管支喘息などの呼吸器の病気がある方
- ワクチンの成分、または鶏卵・鶏肉その他鶏由来のものにアレルギーがある方
- 抗凝固薬・抗血小板薬を服用中の方、血が止まりにくい病気がある方
- 免疫を抑える治療を受けている方
体調不良のときは回復してから接種してください。発熱や咳などの症状があるときは、接種ではなく通常の診療としてご相談ください。
「打たない」を検討している方へ、3つの確認ポイント
無理におすすめすることはありません。判断の材料として、次の3点をご確認ください。
ご自身が重症化しやすい立場かどうか
65歳以上、慢性疾患がある、妊娠中、免疫を抑える治療中といった場合は、判断の前提が変わります。
同居のご家族に、重症化しやすい方がいるか
ご自身の感染が、その方に及ぶ可能性があります。
接種しない場合に、どう備えるか
手洗い・換気・咳エチケットに加えて、発症したときに早めに受診できる体制を確認しておくことが現実的な対応になります。
逆に、接種の優先度が高いのはどんな人か
- ✓ 65歳以上の方(定期接種の対象)
- ✓ 60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器の機能、またはヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に一定の障害がある方(定期接種の対象)
- ✓ 慢性疾患のある方
- ✓ 妊娠中の方
- ✓ 免疫を抑える治療を受けている方
ご自身が該当するかどうかは、診察の際にご相談ください。
65歳以上の方へ|当院と豊島区の助成について
- 当院は豊島区の高齢者インフルエンザ定期接種の実施医療機関ではありません
- そのため65歳以上の方も全額自己負担(1回3,500円・税込)となります
- 区の助成を利用して接種をご希望の方は、区が指定する実施医療機関でお受けください
- 助成内容・実施医療機関は豊島区の公式サイトでご確認ください
迷ったまま決めなくて大丈夫です。接種できるかどうかは、診察のうえで判断できます。
5|副反応の頻度と、出たときの対処
多くは接種部位の反応で、通常2〜3日で軽快するとされています。重い副反応は極めてまれですが、報告はあります。
| 区分 | 主な症状 | 頻度 | 経過 |
|---|---|---|---|
| 接種した部位 | 赤み、腫れ、痛み、かゆみ、しこり | 10〜20%程度 | 通常2〜3日で軽快 |
| 全身 | 発熱、頭痛、寒気、だるさ、めまい、吐き気 | 5〜10%程度 | 通常2〜3日で軽快 |
出典:厚生労働省 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A
次の症状が出たら、すぐに救急要請(119番)を
息苦しさ/全身のじんましん/顔や唇・のどの腫れ/繰り返す嘔吐/意識がもうろうとする/けいれん
頻度は極めてまれですが、ショック、アナフィラキシー、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳炎・脳症、脊髄炎、視神経炎、ギラン・バレー症候群、けいれん、肝機能障害、喘息発作、免疫性血小板減少症、血管炎、間質性肺炎、皮膚粘膜眼症候群、ネフローゼ症候群などが報告されています。
健康被害救済制度について
- 任意接種で健康被害が生じた場合、内容に応じてPMDA「医薬品副作用被害救済制度」の対象となる場合があります
- 相談窓口:0120-149-931(平日9:00〜17:00)
- 定期接種として接種を受けた場合は別の制度(予防接種健康被害救済制度)が適用され、給付内容が異なります
接種後の過ごし方
- ✓ 接種後30分程度は安静に。まれに直後にアレルギー反応が起こることがあります
- ✓ 当日の入浴は差し支えありません。ただし接種部位を強くこすらないでください
- ✓ 当日の激しい運動と過度の飲酒は控えてください
当院・池袋駅前内科・皮膚科クリニックの特徴
- ✓ 駅から近く通院しやすい — 池袋駅東口から徒歩約3分、西武池袋線西武口から徒歩2分
- ✓ 土日診療・夜間診療 — 平日は20時まで、土日も診療
- ✓ WEB予約・WEB問診に対応 — 来院時の流れがスムーズで、待ち時間の負担軽減にもつながります
- ✓ 内科・皮膚科・形成外科それぞれに女性医師が在籍 — デリケートなお悩みも相談しやすい体制です
- ✓ キャッシュレス決済に対応 — 無理なく通院を続けやすい環境づくりを大切にしています
- ✓ 呼吸器外科の診療に従事してきた院長が在籍 — 接種の可否だけでなく、発症後の経過についてもご相談いただけます
よくあるご質問(FAQ)
Q. 「今年のワクチンはやばい」と言われているのは本当ですか。
Q. 今シーズンのワクチンは去年と何が違いますか。
Q. ワクチンを打っても感染したのですが、効果がなかったということですか。
Q. インフルエンザワクチンを打たない方がいいのはどんな人ですか。
Q. 副反応はどのくらいの確率で出ますか。
Q. 経鼻ワクチン(フルミスト)は今シーズン受けられますか。
Q. 卵アレルギーがありますが接種できますか。
Q. ワクチンの効果はいつから、どのくらい続きますか。
Q. 12月に入ってからの接種でも間に合いますか。
まとめ
今シーズンについて確認できる事実
- 流行は例年より早く、2026年8月の時点で全国が流行入り
- 製造株は3株とも前シーズンから変更
- 供給量は約5,190万回分の見込みで、不足が見込まれる状況ではない
- 副反応の頻度が今シーズンだけ高いという公的な発表はない
そのうえで、ワクチンは発症を完全に防ぐものではありません。打つかどうかは、ご自身の体調、持病、ご家族の状況を踏まえて決めていただくものです。この記事は一般的な情報であり、個別の判断は診察を受けたうえで行ってください。
ご予約・ご相談
池袋で今シーズンの接種をお考えの方へ
| 接種開始 | 2026年9月12日(土) |
| 対象 | 13歳以上 |
| 料金 | 1回 3,500円(税込・診察料込) |
| 予約 | WEB予約24時間受付/予約なしの当日接種も可(在庫がある場合) |
※12歳以下の方は当院では接種を行っておりません。また当院は豊島区の高齢者定期接種の実施医療機関ではないため、65歳以上の方も全額自己負担となります。
この記事の監修医
永松 裕紀 医師(池袋駅前内科・皮膚科クリニック 院長)
東京医科大学医学部医学科卒業後、東京医科大学八王子医療センターおよび国際医療福祉大学三田病院にて呼吸器外科診療に従事。
監修範囲:本記事の医学的記載全般/最終更新日:2026年9月12日
参考文献(6件)
- 厚生労働省「急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」(2026年9月12日参照)
- 厚生労働省「インフルエンザワクチン(季節性)」(2026年9月12日参照)
- 厚生労働省 予防接種課「2026/27シーズンの季節性インフルエンザワクチンの供給見通しについて」2026年8月26日
- 東京都感染症情報センター「2026〜2027年シーズン インフルエンザHAワクチン製造株」2026年6月18日
- 厚生労働省「インフルエンザの発生状況について」2026年8月28日公表
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「医薬品副作用被害救済制度」
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個々の症状に対する診断・治療を保証するものではありません。記載内容は掲載時点の情報に基づいており、医学的知見や公的機関の見解は今後変更される可能性があります。ご自身の健康状態について気になる点がある場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。