2026年8月20日

健康診断の血液検査結果で「異常値」「要再検査」と指摘されると、不安になる方は少なくありません。血液検査は肝機能・脂質・血糖・腎機能・尿酸・貧血などを数値で確認するもので、基準値を外れた場合は原因の特定や生活習慣の見直し、追加検査が必要になることがあります。本記事では、AST・ALT・γ-GTP・LDLコレステロール・HbA1c・クレアチニンなど主要項目の意味と、要再検査・要精密検査となった場合の受診の目安を医師がわかりやすく解説します。
こんにちは、池袋駅東口から徒歩2分の池袋駅前内科・皮膚科クリニックです。
健康診断の血液検査では、肝機能・脂質代謝・糖代謝・腎機能・尿酸代謝・血液(血算)といった分野に分けて、体の状態を調べています。ここで分かるのは、多くの場合「病名(疾患)」そのものではなく、「肝機能の数値が高い」「血糖が高い」といった体に起きている状態の異常(検査値の異常)です。たとえば同じ「ALTが高い」という結果でも、その背景にある疾患は脂肪肝・ウイルス性肝炎・薬剤性肝障害などさまざまで、病名を確定するには腹部超音波(エコー)検査や追加の血液検査が必要になります。そのため、異常値が出たからといって、すぐに病気と診断されるわけではありません。健康診断は病気を確定するための検査ではなく、病気の可能性がないかを調べる「スクリーニング検査」です。
一方で、異常値をそのまま放置してしまうと、生活習慣病や慢性疾患が進行してしまう場合もあります。そのため、健康診断で異常を指摘された際は、結果の意味を正しく理解し、必要に応じて医療機関を受診することが大切です。なお、本記事の基準値は日本人間ドック・予防医療学会(旧・日本人間ドック学会)の判定区分や特定健診の判定値等を参考にしていますが、基準値は検査機関・測定方法・妊娠中かどうか・年齢などによって異なる場合があります。実際の判定は、お手元の検査結果表に記載された基準値をご確認ください。
【この記事のポイント】
- ・健康診断の血液検査で調べている内容がわかります
- ・血液検査結果を見る際の4つのポイントがわかります
- ・AST・ALT・γ-GTP・LDLコレステロール・HbA1cなど主要項目の意味がわかります
- ・異常値が出た場合に考えられる原因がわかります
- ・医療機関を受診する目安がわかります
- ・尿酸・痛風や貧血など、見落とされやすい項目のポイントがわかります
- ・血液検査だけでは診断できないこと(脂肪肝・慢性腎臓病・糖尿病など)がわかります
【こんな方におすすめ】
- 健康診断で「要再検査」「要精密検査」と判定された方
- 血液検査の結果の見方がわからない方
- AST・ALT・γ-GTP・LDLコレステロール・HbA1cなどの異常値について知りたい方
- 異常値があったものの、受診すべきか迷っている方
- 健康診断の結果を今後の健康管理に役立てたい方
1|健康診断結果を見る前に確認しましょう
チェックリスト
- ✅ 判定区分は「要再検査」「要精密検査」「要医療」のどれか確認する
- ✅ どの検査項目に異常があるか確認する
- ✅ 前年の結果と比較して悪化していないか確認する
- ✅ 異常項目が複数あるか確認する
- ✅ 結果票は受診時に持参する
健康診断の血液検査結果を受け取ったとき、「どこを見ればいいの?」と迷う方は少なくありません。健康診断の血液検査では、肝機能・脂質代謝・糖代謝・腎機能・尿酸代謝・血液(血算)といった分野ごとに、さまざまな疾患の可能性を調べています。異常値が出たからといって、すぐに病気と診断されるわけではありませんが、そのまま放置してしまうと、生活習慣病や慢性疾患が進行してしまう場合もあります。まずは上記のチェックリストで、ご自身の結果票を確認してみましょう。
2|健康診断の血液検査とは?
この章の要点
・血液検査は「肝機能・脂質代謝・糖代謝・腎機能・尿酸代謝・血球(血算)」の6分野を調べています
・わかるのは多くの場合「病名」ではなく、「体に起きている状態」です
・異常値=病気ではなく、原因を調べるためのスタート地点です
健康診断の血液検査は、自覚症状が現れる前の病気や生活習慣病のリスクを早期に発見するための重要な検査です。採血によって体内のさまざまな成分を調べることで、肝臓の状態・腎臓の状態・血糖値・コレステロールや中性脂肪・貧血の有無・炎症の有無などを確認できます。
病気の多くは初期には症状がほとんどありません。例えば、脂質異常症・高血圧・糖尿病・慢性腎臓病・脂肪肝などは、健康診断で初めて異常を指摘されるケースも少なくありません。そのため、血液検査は「今の健康状態を知るため」だけでなく、「将来の病気を予防するため」にも重要な役割を果たしています。

健康診断の血液検査は、大きく分けて「肝機能(AST・ALT・γ-GTP)」「脂質(LDL・HDL・TG)」「糖代謝(血糖・HbA1c)」「腎機能(Cr・eGFR)」「尿酸代謝(UA)」「血液(Hb・WBC・PLT)」の6つの分野に分類されます。異常値が見つかった場合は、必要に応じて再検査・精密検査が行われます。
3|血液検査を見る4つのポイント
この章の要点
・まず判定区分(異常なし/経過観察/要再検査/要精密検査/要治療)を確認します
・「どの項目が」「前年と比べてどう動いたか」をセットで見ます
・複数の項目に同時に異常があるときは、早めの受診がすすめられます
健康診断結果を見る際は、単純に「基準値を超えているか」だけを見るのではなく、次の4つのポイントを確認しましょう。

① 判定区分を確認する
まずは、健康診断結果の判定区分を確認しましょう。多くの健康診断では、以下のように判定されます。
| 判定 | 意味 |
|---|---|
| 異常なし | 現時点では大きな異常は認めません。 |
| 経過観察 | 生活習慣の改善や、定期的な健診受診をおすすめします。 |
| 要再検査 | 再度検査を受けて異常が続くか確認します。 |
| 要精密検査 | より詳しい検査で原因を調べる必要があります。 |
| 要治療・要医療 | 早期の医療機関の受診をおすすめします。 |
特に「要再検査」「要精密検査」「要治療」と判定された場合は、放置せず医療機関へ相談しましょう。
※判定区分はあくまで目安です。「経過観察」であっても、前年から急に大きく変化している項目がある場合、複数の項目に同時に異常がある場合、自覚症状がある場合は、次の健診を待たずに医療機関へご相談ください。
💡ワンポイント
「要再検査」と「要精密検査」は意味が異なります。要再検査は同じ検査をもう一度行い、本当に異常があるか確認することが目的です。一方、要精密検査は異常の原因を詳しく調べるために、追加の検査が必要であることを意味します。
② どの項目が異常なのか確認する
判定だけではなく、どの検査項目に異常があるのかを確認することも大切です。例えば、AST・ALT・γ-GTPが高い場合は肝機能障害、LDLコレステロールが高い場合は脂質異常症、HbA1c・血糖が高い場合は糖尿病、クレアチニン・eGFRが異常な場合は慢性腎臓病(CKD)、尿酸が高い場合は高尿酸血症、ヘモグロビンが低い場合は貧血が疑われます。このように、異常となっている項目によって考えられる病気は異なります。ただし、これらはいずれも「疑われる状態」であり、健康診断の血液検査だけで病名が確定するわけではありません。異常を指摘された場合は、医療機関で追加の検査を受けてください。この記事では、それぞれの検査項目について詳しく解説します。
③ 前年の結果と比較する
健康診断では、今年だけの結果を見るのではなく、前年と比較することが重要です。例えば、昨年AST 24、今年AST 39と基準値内だったとしても、大きく上昇している場合には生活習慣の変化や病気のサインが隠れていることがあります。逆に、基準値を少し超えていても、毎年ほぼ変化がなく、医師が経過観察と判断するケースもあります。毎年健康診断を受けている方は、ぜひ前年の結果もあわせて確認しましょう。
💡ワンポイント
健康診断は「1年ごとの比較」がとても重要です。数値の変化を見ることで、病気の早期発見につながることがあります。
④ 異常値が複数あるか確認する
健康診断では、1つだけ異常がある場合と、複数の項目に異常がある場合では、考え方が異なります。例えば、LDLコレステロール・中性脂肪・HbA1cの3項目が同時に高い場合は、生活習慣病の可能性があります。また、AST・ALT・γ-GTPがすべて高い場合には、肝細胞や胆道に障害が起きている可能性があり、その原因となる疾患(脂肪肝・ウイルス性肝炎・薬剤性肝障害など)を調べる必要があります。複数の異常値がある場合は、早めに医療機関へ相談することをおすすめします。複数の項目が少しずつ高い状態は、それぞれが軽度であっても組み合わさることで心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めることが知られています。「どれも軽度だから大丈夫」ではなく、全体として評価することが大切です。一方で、遺伝的な体質や、甲状腺・腎臓の病気が背景にあることもあるため、生活習慣の改善だけで判断せず、一度ご相談ください。
4|健康診断でよく見る血液検査項目一覧
この章の要点
・検査項目は6つの分野に整理できます
・分野ごとに、疑われる状態(肝機能障害・脂質異常症・糖尿病など)が異なります
・まず表で全体像をつかみ、気になる項目を詳しく読むのがおすすめです
健康診断では多くの検査項目がありますが、特に内科で相談を受けることが多い項目は次のとおりです。
| 分類 | 主な検査項目 | 疑われる主な病気・状態 |
|---|---|---|
| 肝機能 | AST・ALT・γ-GTP・ALP・総ビリルビン | 肝臓・胆道の状態 |
| 脂質 | LDL・HDL・中性脂肪(TG) | 脂質異常症・動脈硬化リスク |
| 糖代謝 | 血糖・HbA1c | 糖尿病・糖尿病予備群 |
| 腎機能 | クレアチニン・eGFR | 腎臓の働き・慢性腎臓病 |
| 尿酸代謝 | 尿酸(UA) | 痛風・高尿酸血症 |
| 血液 | 赤血球・ヘモグロビン・白血球・血小板 | 貧血・感染症・炎症など |
※これらの検査は、病気を見つけるきっかけになるもので、診断を確定するものではありません。また、腎機能の評価には、血液検査に加えて尿検査(尿蛋白・尿潜血)の結果が欠かせません。
これらの項目について、それぞれの役割や異常値の原因、受診の目安を詳しく解説します。

5|肝機能検査(AST・ALT・γ-GTP・ALP・総ビリルビン)の見方
この章の要点
・AST・ALTは「肝臓の細胞が壊れている」というサインです
・ALTが30 U/Lを超えていたら、1回でも一度受診が推奨されています
(日本肝臓学会「奈良宣言2023」)
・脂肪肝は血液検査では診断できません。腹部エコー検査が必要です
健康診断で「ASTが高い」「ALTが高い」「γ-GTPが高い」と指摘され、不安になった経験はありませんか。肝機能検査は、肝臓や胆道(胆汁の通り道)の状態を確認するための検査です。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、病気が進行しても自覚症状がほとんど現れません。そのため、健康診断で異常値を指摘されたことが、病気を早期発見するきっかけになることも少なくありません。

| 検査項目 | 基準値(目安) |
|---|---|
| AST(GOT) | 30 U/L以下 |
| ALT(GPT) | 30 U/L以下 |
| γ-GTP | 50 U/L以下 |
| ALP | 38~113 U/L |
| 総ビリルビン | 0.4~1.5 mg/dL |
※基準値は測定方法・施設によって異なります。また、健診の「判定値」(この値を超えたら詳しく調べたほうがよい目安)と、病院の結果表に印刷されている「基準範囲」(健康な人の数値の分布)は目的が違うため、数字が一致しないことがあります。お手元の結果表の基準値とあわせてご確認ください。それぞれの項目の詳しい原因や受診の目安は、以下で解説します。
AST(GOT)とは?
AST(GOT)は、肝細胞だけでなく、心臓や筋肉にも含まれている酵素です。そのため、ASTが高いからといって、必ずしも肝臓の病気とは限りません。
基準値(目安):30 U/L以下(日本人間ドック・予防医療学会の判定区分による目安。施設により基準値は異なります)
ASTが高くなる主な原因
- ・脂肪肝
- ・アルコール関連肝疾患(ALD/旧・アルコール性肝障害)
- ・ウイルス性肝炎
- ・薬剤性肝障害
- ・激しい運動後
- ・筋肉の損傷
- ・心筋障害
ASTのみが軽度高値の場合には、運動や筋肉由来の影響であることもあります。
受診の目安
- ・基準値を超える状態が続いている
- ・ASTが前年より上昇している
- ・ALTやγ-GTPも同時に高い
- ・倦怠感や黄疸などの症状がある
💡ワンポイント
ASTは筋肉にも含まれるため、健康診断前日に激しい運動をすると一時的に高くなることがあります。ただし、運動や筋肉の影響で上がるのは主にASTで、ALTはあまり上がりません。AST・ALTがそろって高い場合は運動では説明がつきません。「運動したせいだろう」と自己判断せず、再検査を受けてください。
ALT(GPT)とは?
ALT(GPT)は、主に肝細胞に存在する酵素です。ASTよりも肝臓に特異性が高く、ALTの上昇は肝臓の炎症や障害を反映している可能性があります。
基準値(目安):30 U/L以下(日本肝臓学会「奈良宣言2023」はALT 30 U/L超を受診の目安として提唱しています。施設により基準値は異なります)
ALTが高くなる主な原因
- ・脂肪肝
- ・代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD/以前はNAFLDと呼ばれていました)
- ・アルコール関連肝疾患(ALD/旧・アルコール性肝障害)
- ・ウイルス性肝炎
- ・薬剤性肝障害
近年では、肥満や糖尿病に伴う脂肪肝によってALTが高くなる方が増えています。
ただし、脂肪肝は血液検査だけでは診断できません。ALTの上昇は「肝臓の細胞が壊れている」というサインにすぎず、その原因が脂肪肝かどうかを確かめるには、腹部超音波(エコー)検査が必要です。エコーで脂肪肝の有無や程度を確認したうえで、飲酒量、体重や腹囲、糖尿病・脂質異常症・高血圧などの有無、肝炎ウイルスの検査結果、服用中のお薬やサプリメントなどを合わせて原因を判断します。なお、AST・ALTが基準値内でも脂肪肝が存在することがあります。また、軽度の脂肪肝はエコーに写りにくいこともあります。
さらに注意が必要なのは、肝臓の線維化(かたくなる変化)が進むと、AST・ALTはかえって下がることがあるという点です。数値が下がった=肝臓がよくなった、とは限りません。肝臓のダメージの「深さ」は、AST・ALTだけでなく、血小板数(PLT)や腹部エコー、肝臓の硬さを測る検査などを組み合わせて評価します。
受診の目安
- ・ALTが30 U/Lを超えている(1回でも当てはまれば、一度受診を)
- ・ASTも同時に高い
- ・健康診断で要再検査・要精密検査となった
- ・肥満や糖尿病、脂質異常症がある
💡ワンポイント
ALTのみ軽度上昇している場合でも、脂肪肝が隠れていることがあります。生活習慣の改善だけで数値が改善することもありますが、必要に応じて腹部超音波検査などを行うことがあります。
γ-GTPとは?
γ-GTP(ガンマGTP)は、肝臓や胆道に多く含まれる酵素です。飲酒の影響を受けやすいことで知られていますが、お酒を飲まない方でも高値となることがあります。
基準値(目安):50 U/L以下(性別や施設により基準値は異なります)
γ-GTPが高くなる主な原因
- ・過度の飲酒
- ・脂肪肝
- ・胆石
- ・胆管炎
- ・薬剤
- ・肥満
- ・糖尿病
受診の目安
- ・基準値を超えている
- ・毎年上昇している
- ・AST・ALTも高い
- ・飲酒量が多い
💡ワンポイント
γ-GTPは「お酒の飲み過ぎ」だけでなく、脂肪肝や胆道の病気、お薬・サプリメントでも高くなることがあります。飲酒習慣がない方でも、異常値を指摘された場合は一度ご相談ください。
逆に、γ-GTPが正常でも「お酒の量は大丈夫」とは限りません。体質的に、飲酒してもγ-GTPが上がりにくい方もいます。
また、判定値(50 U/L以下)は男女共通ですが、健康な女性のγ-GTPはもともと男性より低め(おおむね30台まで)です。女性で40〜50台の場合は、基準内であっても一度ご相談ください。
ALPとは?
ALP(アルカリホスファターゼ)は、胆道だけでなく骨・小腸・胎盤にも存在する酵素です。健康診断では、胆汁の流れが悪くなっていないかを確認する目的で測定されます。そのため、成長期のお子さんや思春期の方、妊娠中の方では生理的に高くなり、心配のないことがほとんどです。骨折後や骨の病気でも上昇します。γ-GTPも一緒に高いかどうかが、肝臓・胆道が原因かどうかを見分ける手がかりになります。
基準値(目安):38~113 U/L(JCCLS共用基準範囲。2020年4月の測定法変更〔JSCC法→IFCC法〕以降の値です。施設により異なります)。測定法の変更で数値がそれ以前のおよそ3分の1になったため、2020年3月以前の結果(基準値がおおむね100〜320程度のもの)とはそのまま比較できません。
ALPが高くなる主な原因
- ・胆石
- ・胆管炎
- ・胆汁うっ滞
- ・骨疾患
- ・成長期(若年者)
受診の目安
- ・ALPが高値
- ・γ-GTPも高値
- ・黄疸や腹痛がある
💡ワンポイント
ALPとγ-GTPがそろって高い状態が続く場合、胆石や胆管の病気のほかに、原発性胆汁性胆管炎(PBC)という中年以降の女性に多い自己免疫性の肝臓の病気が隠れていることがあります。無症状のまま健診で見つかる方が大半で、早く見つけてお薬を始めれば経過は良好です。原因がはっきりしないALP・γ-GTP高値が続く場合は、追加の検査をおすすめすることがあります。
総ビリルビンとは?
総ビリルビンは、赤血球が壊れたときにできる色素です。肝臓で処理され胆汁として排泄されます。
基準値(目安):0.4~1.5 mg/dL(JCCLS共用基準範囲。施設により基準値は異なります)。なお、総ビリルビンは低いこと自体は問題ありません。高い場合に意味を持つ検査です。
総ビリルビンが高くなる主な原因
- ・体質性黄疸(ジルベール症候群)
- ・肝炎
- ・胆石
- ・胆道閉塞
- ・溶血
もっとも多い原因は体質性黄疸(ジルベール症候群)という、日本人の数%にみられる生まれつきの体質です。これ自体は治療の必要がなく、健康に影響しません。空腹・睡眠不足・疲労・激しい運動で高くなりやすいのが特徴です。
ただし、「体質性黄疸である」と血液検査の数値だけで決めることはできません。胆石や胆管のつまり(胆道閉塞)、赤血球が壊れる病気(溶血)、肝臓そのものの病気でも同じように高くなります。ビリルビンの内訳、貧血の有無、腹部エコーなどで「これらではない」と確認して、はじめて体質性と判断します。初めて指摘された方は、自己判断せず一度ご相談ください。
受診の目安
- ・黄疸がある
- ・尿が濃い
- ・AST・ALTも高い
- ・健康診断で要精密検査となった
こんな方は受診をご検討ください
- ✅ 健康診断で「要再検査」「要精密検査」と判定された
- ✅ AST・ALT・γ-GTPが前年より悪化している
- ✅ 複数の肝機能項目で異常がある
- ✅ 倦怠感・黄疸・食欲低下などの症状がある
- ✅ 飲酒習慣があり、γ-GTPの高値が続いている
⚠️この場合は、早めに受診してください(肝機能)
次のいずれかに当てはまる場合は、次回の健診や後日の予約を待たず、早めに医療機関を受診してください。
- ・AST・ALTが200 U/L以上と大きく上がっている
- ・白目や皮膚が黄色い(黄疸)、尿が濃い茶色になった、便が白っぽい
- ・強いだるさ、吐き気で食事がとれない、発熱が続く
- ・足のむくみ、おなかの張り、ぼんやりする・眠りがち
- ・新しく飲み始めたお薬・サプリメント・健康食品がある
お薬・サプリメントと肝機能について
肝機能の数値に影響するのは、処方薬だけではありません。サプリメント・健康食品・プロテイン・漢方薬なども肝障害の原因になることがあります。「体に良いもの」として飲んでいるものも含めて、医師にお伝えください。
一方で、自己判断でお薬をやめないでください。たとえばコレステロールを下げるお薬(スタチン系)では、肝機能の数値が軽く上がっても、そのまま続けて問題ないと判断されることが少なくありません。自己判断での中止は、本来防げるはずの病気のリスクを高めてしまいます。受診の際は、お薬手帳と、飲んでいるサプリメント・健康食品のパッケージ(または写真)をお持ちください。
💡ワンポイント|肝機能の数値が正常でも、肝炎ウイルスは分かりません
健康診断の肝機能検査(AST・ALT・γ-GTPなど)では、B型・C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかは分かりません。肝炎ウイルスの検査は「HBs抗原」「HCV抗体」という別の項目で、健診に含まれていないことがあります。B型・C型肝炎は、感染していてもAST・ALTが正常のまま自覚症状なく進行することがあります。現在は治療で治せる時代です。一度も受けたことがない方は、一生に一度は肝炎ウイルス検査を受けましょう。
6|脂質検査(LDL・HDL・中性脂肪)の見方
この章の要点
・LDLコレステロール140 mg/dL以上で「脂質異常症」と判定されます
・治療の目標値は全員同じではなく、持病やリスクによって変わります
・中性脂肪が著しく高い場合は、急性膵炎に注意が必要です
健康診断で「LDLコレステロールが高い」「HDLコレステロールが低い」「中性脂肪(TG)が高い」と指摘されたことはありませんか。脂質検査は、血液中のコレステロールや中性脂肪の量を調べ、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクを評価するための検査です。
脂質異常症は初期にはほとんど自覚症状がなく、「健康診断で初めて異常を知った」という方も少なくありません。しかし、異常値を長期間放置すると、血管の老化(動脈硬化)が進み、重大な病気につながる可能性があります。そのため、健康診断で脂質異常を指摘された場合は、結果を正しく理解し、必要に応じて医療機関へ相談することが大切です。

| 検査項目 | 基準値(目安) |
|---|---|
| LDLコレステロール | 120 mg/dL未満(140 mg/dL以上は受診勧奨判定値) |
| HDLコレステロール | 40 mg/dL以上 |
| 中性脂肪(TG) | 150 mg/dL未満(空腹時)/175 mg/dL未満(随時) |
※基準値は測定方法・施設によって異なります。また、健診の「判定値」(この値を超えたら詳しく調べたほうがよい目安)と、病院の結果表に印刷されている「基準範囲」(健康な人の数値の分布)は目的が違うため、数字が一致しないことがあります。お手元の結果表の基準値とあわせてご確認ください。それぞれの項目の詳しい原因や受診の目安は、以下で解説します。
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)とは?
LDLコレステロールは、全身へコレステロールを運ぶ役割があります。一方で、多すぎると血管の壁に蓄積し、動脈硬化を進行させる原因となります。そのため一般的に「悪玉コレステロール」と呼ばれています。
基準値(目安):120 mg/dL未満(特定健診の保健指導判定値。140 mg/dL以上は受診勧奨判定値とされます。施設により基準値は異なります)
| 区分 | LDLコレステロール |
|---|---|
| 基準範囲 | 120 mg/dL未満 |
| 境界域高LDLコレステロール血症 | 120~139 mg/dL |
| 高LDLコレステロール血症(脂質異常症) | 140 mg/dL以上 |
LDLコレステロールが高くなる主な原因
- ・食べ過ぎ
- ・脂質の多い食事
- ・肥満
- ・運動不足
- ・糖尿病
- ・遺伝的体質(家族性高コレステロール血症など)
- ・甲状腺機能低下症
放置するとどうなる?
LDLコレステロールが高い状態が続くと、動脈硬化・狭心症・心筋梗塞・脳梗塞などのリスクが高くなります。自覚症状がないまま進行することが多いため、健康診断で早期に発見することが重要です。
受診の目安
- ・健康診断で要再検査・要精密検査となった
- ・LDLコレステロールが毎年上昇している
- ・高血圧や糖尿病を合併している
- ・ご家族に若くして心筋梗塞や脳梗塞になった方がいる
💡ワンポイント
LDLコレステロールは高くても症状がほとんどありません。症状がないからと放置せず、健康診断結果をきっかけに生活習慣を見直すことが大切です。
「診断の基準」と「治療の目標値」は別ものです
同じLDL 130 mg/dLでも、「治療が必要な方」と「経過観察でよい方」がいます。目標値は、将来の心筋梗塞などのリスクに応じて変わります。
| その方の状況 | LDLの目標値の目安 |
|---|---|
| 心筋梗塞・狭心症になったことがある | 100 mg/dL未満(特に高リスクの場合は70 mg/dL未満) |
| 糖尿病がある | 120 mg/dL未満(合併症などがある場合は100 mg/dL未満) |
| リスクが低い(若年・非喫煙・血圧や血糖が正常など) | 160 mg/dL未満 |
※日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より。実際の目標値は、年齢・性別・喫煙・血圧・血糖などを踏まえて医師が個別に判断します。
⚠️LDLが180 mg/dL以上の方へ|体質が原因のことがあります
LDLコレステロールが180 mg/dL以上と高い場合、生活習慣だけでなく家族性高コレステロール血症(FH)という遺伝的な体質が背景にあることがあります。日本ではおよそ300人に1人とされ、決してまれではありません。次のような場合は、生活習慣の改善だけでは不十分なことが多く、早めにご相談ください。
- ・LDLコレステロールが180 mg/dL以上
- ・アキレス腱が厚い、手の甲・ひじ・ひざなどに黄色い盛り上がり(黄色腫)がある
- ・若くして(男性55歳未満、女性65歳未満)心筋梗塞や狭心症になった血縁者がいる
- ・血縁者にコレステロールが非常に高い方がいる
HDLコレステロール(善玉コレステロール)とは?
HDLコレステロールは、余分なコレステロールを回収し、肝臓へ戻す働きがあります。そのため「善玉コレステロール」と呼ばれています。
基準値(目安):40 mg/dL以上(39 mg/dL以下は特定健診の保健指導判定値。施設により基準値は異なります)
HDLコレステロールが低くなる主な原因
- ・運動不足
- ・喫煙
- ・肥満
- ・糖尿病
- ・メタボリックシンドローム
放置するとどうなる?
HDLコレステロールが低いと、血管内の余分なコレステロールを十分に回収できず、動脈硬化が進みやすくなります。
受診の目安
- ・HDLコレステロールが低い状態が続いている
- ・LDLコレステロールも高い
- ・糖尿病や高血圧を合併している
💡ワンポイント
HDLコレステロールは、適度な運動や禁煙などの生活習慣改善によって増加することがあります。
中性脂肪(TG)とは?
中性脂肪(トリグリセライド:TG)は、エネルギー源として体内に蓄えられる脂肪です。必要な成分ですが、多すぎると脂質異常症や動脈硬化の原因となります。また、極端に高い場合には急性膵炎のリスクが高まることがあります。
基準値(目安):150 mg/dL未満(空腹時。施設により基準値は異なります)。食後採血(随時)の場合は175 mg/dL未満が目安となります(日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」)。
中性脂肪が高くなる主な原因
- ・食べ過ぎ
- ・過度の飲酒
- ・甘いものの摂り過ぎ
- ・運動不足
- ・肥満
- ・糖尿病
放置するとどうなる?
中性脂肪が高い状態が続くと、動脈硬化や脂肪肝の原因となります。また、500 mg/dL以上になると急性膵炎のリスクが高まり、1,000 mg/dL以上では特に注意が必要です。
受診の目安
- ・健康診断で要再検査・要精密検査となった
- ・LDLコレステロールやHbA1cも高い
- ・飲酒量が多い
- ・肥満がある
💡ワンポイント
中性脂肪は食事の影響を受けやすい検査です。健康診断前日の飲酒や夜遅い食事によって一時的に高くなることもあります。健診での判定は、空腹時(10時間以上絶食)で150 mg/dL未満、食事の影響がある随時採血で175 mg/dL未満が目安です。
⚠️中性脂肪が500 mg/dLを大きく超えている方へ
急性膵炎は、激しい腹痛・背部痛を起こし入院治療が必要になる病気です。中性脂肪が500 mg/dLを大きく超えている場合は、生活習慣の改善だけで様子を見ず、早めに医療機関を受診してください。
non-HDLコレステロールとは?
non-HDLコレステロールは、総コレステロール − HDLコレステロールで計算される値で、動脈硬化を進めるコレステロール全体をまとめて見る指標です。健診の結果表に記載されていることが増えています。
| 区分 | non-HDLコレステロール |
|---|---|
| 基準範囲 | 150 mg/dL未満 |
| 境界域 | 150~169 mg/dL |
| 高non-HDLコレステロール血症 | 170 mg/dL以上 |
中性脂肪が高い方や、空腹でない状態で採血した方では、LDLコレステロールを正確に評価できないことがあります(特に中性脂肪が400 mg/dL以上の場合、計算で求めたLDL値は当てになりません)。そのようなときに、non-HDLコレステロールが役立ちます。
生活習慣以外の原因(二次性脂質異常症)
コレステロールや中性脂肪の高値は、生活習慣以外の病気やお薬が原因のこともあります。
- ・甲状腺機能低下症(だるい・寒がり・むくみ・体重増加・便秘などを伴うことがあります)
- ・腎臓の病気(ネフローゼ症候群、慢性腎臓病)
- ・肝臓や胆道の病気
- ・コントロールがついていない糖尿病
- ・お薬の影響(ステロイド、一部のホルモン薬など)
これらが原因の場合は、もとの病気を治療することで脂質の値も改善することがあります。生活習慣を改善しても数値が下がらない場合は、原因を調べる検査をおすすめします。
こんな方は受診をご検討ください
- ✅ 健康診断で「要再検査」「要精密検査」と判定された
- ✅ LDLコレステロールが高い状態が続いている
- ✅ HDLコレステロールが低い
- ✅ 中性脂肪も高い
- ✅ 高血圧・糖尿病・肥満を指摘されている
- ✅ ご家族に心筋梗塞・脳梗塞になった方がいる
健康診断で脂質異常を指摘されても、すぐに薬による治療が必要になるとは限りません。まずは生活習慣や食生活、運動習慣などを確認し、必要に応じて再検査を行います。その結果を踏まえ、生活習慣の改善で経過をみるか、お薬による治療を開始するかを患者さんと相談しながら決定しています。脂質異常症は自覚症状がないまま進行することが多いため、健康診断で異常を指摘された際は、早めにご相談ください。
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7|糖代謝検査(血糖・HbA1c)の見方
この章の要点
・健康診断1回だけでは糖尿病は診断できません(再検査や追加検査が必要です)
・血糖値は食事の影響を受け、HbA1cは過去1〜2か月の平均を示します
・のどの渇き・多尿・急な体重減少があるときは、結果を待たず受診してください
健康診断で「血糖値が高い」「HbA1cが高い」と指摘され、不安になったことはありませんか。糖代謝検査は、糖尿病や糖尿病予備群の可能性を調べるための重要な検査です。糖尿病は初期にはほとんど自覚症状がありません。しかし、血糖値が高い状態が長期間続くと、全身の血管に負担がかかり、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。健康診断で異常を指摘された場合は、放置せず早めに原因を確認することが大切です。
💡ワンポイント|健康診断だけで糖尿病と確定することはできません
糖尿病の診断は、日本糖尿病学会の基準に沿って行います。
①空腹時血糖126 mg/dL以上/随時血糖200 mg/dL以上/ブドウ糖負荷試験2時間値200 mg/dL以上(=血糖値の基準)
②HbA1c 6.5%以上
このうち①と②が同じ採血で同時に確認された場合は、その時点で糖尿病と診断されます。どちらか一方だけの場合は、別の日に再検査を行って判断します。なお、HbA1cだけを繰り返し測っても糖尿病の診断はできません。健診で「糖尿病の疑い」と判定された場合は、必ず医療機関で確認の検査を受けてください。

血糖値とは?
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度を示す数値です。健康診断では、主に空腹時血糖を測定し、糖尿病や糖尿病予備群の可能性を評価します。
| 判定 | 空腹時血糖 |
|---|---|
| 基準範囲 | 99 mg/dL以下 |
| 正常高値 | 100~109 mg/dL(基準範囲内ですが、将来の糖尿病リスクがやや高い状態) |
| 境界型(いわゆる糖尿病予備群) | 110~125 mg/dL |
| 糖尿病型(糖尿病が疑われます) | 126 mg/dL以上 |
※健康診断では、100 mg/dL以上を「保健指導が必要な値」、126 mg/dL以上を「医療機関の受診をおすすめする値」として扱うのが一般的です(特定健診の判定値)。一方、日本糖尿病学会の分類では110 mg/dL未満を「正常型」としています。基準の出どころによって区切りが少し異なるため、健診結果表の判定区分とあわせてご確認ください。
血糖値が高くなる主な原因
- ・糖尿病
- ・糖尿病予備群
- ・肥満
- ・運動不足
- ・食べ過ぎ
- ・ストレス
- ・一部の薬剤(ステロイドなど)
放置するとどうなる?
高血糖が続くと、糖尿病網膜症・糖尿病腎症・糖尿病神経障害といった糖尿病の三大合併症のほか、心筋梗塞・脳梗塞などの動脈硬化性疾患のリスクも高まります。
受診の目安
- ・空腹時血糖が100 mg/dL以上で繰り返し指摘されている
- ・「要再検査」「要精密検査」と判定された
- ・のどの渇き、多飲、多尿、体重減少などの症状がある
💡ワンポイント
健康診断当日の体調や前日の食事によって血糖値が変動することがあります。そのため、HbA1cと合わせて評価することが重要です。
HbA1cとは?
HbA1c(ヘモグロビンA1c)は、過去1~2か月程度の平均的な血糖状態を反映する検査です。一時的な食事の影響を受けにくいため、糖尿病の診断や治療効果の確認に広く用いられています。
| 判定 | HbA1c |
|---|---|
| 基準範囲 | 5.5%以下(施設により5.6%未満などと表示されます) |
| 保健指導の対象 | 5.6~5.9%(特定健診の保健指導判定値は5.6%以上) |
| 糖尿病の可能性を否定できない | 6.0~6.4%(糖尿病の発症リスクが高く、精密検査がすすめられます) |
| 糖尿病型(糖尿病が疑われます) | 6.5%以上(日本糖尿病学会の診断基準値) |
HbA1cは赤血球の状態に左右されるため、次のような場合には実際の血糖状態とずれることがあります。
| ずれ方 | 当てはまる主な状況 |
|---|---|
| 実際より高めに出ることがある | 治療していない鉄欠乏性貧血、腎不全の一部 など |
| 実際より低めに出ることがある | 出血のあと、溶血性貧血、鉄剤やビタミンB12による治療中、肝硬変、透析中、妊娠中、輸血後 など |
また、HbA1cは平均値のため、ここ数日で急に血糖が上がった場合には数値が追いつきません。血糖値とHbA1cの高さがちぐはぐな場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。貧血や腎臓の異常も指摘されている場合は、その旨を医師にお伝えください。
HbA1cが高くなる主な原因
- ・糖尿病
- ・糖尿病予備群
- ・長期間の高血糖
受診の目安
- ・HbA1cが5.6%以上で経年的に上昇している
- ・HbA1cが6.5%以上
- ・空腹時血糖も高い
- ・家族に糖尿病の方がいる
💡ワンポイント
HbA1cが軽度高値でも、食事や運動習慣の改善によって正常化することがあります。早めの対策が将来の糖尿病予防につながります。
⚠️この症状があるときは、結果を待たずに受診してください
血糖値やHbA1cの高さにかかわらず、次のような症状があるときは、健診結果を待たずすぐに医療機関を受診してください。
- ・のどが異常に渇く、水をたくさん飲む
- ・尿の量や回数が明らかに増えた(夜間に何度も起きる)
- ・食事量は変わらないのに体重が急に減った
- ・強いだるさ、吐き気、意識がぼんやりする
これらは血糖が著しく高くなっているサインのことがあり、若い方でも起こります(1型糖尿病など)。急激に症状が進んでいる場合は緊急の対応が必要です。
こんな方は受診をご検討ください
- ✅ 健康診断で「要再検査」「要精密検査」と判定された
- ✅ HbA1cが前年より上昇している
- ✅ 血糖値もHbA1cも高い
- ✅ 肥満、高血圧、脂質異常症を指摘されている
- ✅ 家族に糖尿病の方がいる
8|腎機能検査(クレアチニン・eGFR)の見方
この章の要点
・腎臓は自覚症状が出にくく、健診で異常が見つかることが多い臓器です
・クレアチニンは、腎機能がかなり落ちるまで上がりません
・慢性腎臓病(CKD)の判断には、血液検査だけでなく尿検査が欠かせません
腎臓は、血液をろ過して老廃物を尿として排泄する重要な臓器です。腎機能が低下しても初期にはほとんど自覚症状がありません。そのため、健康診断で異常が見つかることも少なくありません。
なお、慢性腎臓病(CKD)は血液検査だけでは診断できません。診断には、尿検査(尿蛋白・尿潜血)などの腎障害を示す所見、またはeGFR 60未満が3か月以上続いていることの確認が必要です。eGFRが60以上でも、尿蛋白が出ていればCKDにあたります。健診結果は、血液検査の腎機能だけでなく、必ず尿検査の結果とあわせてご確認ください。なお、腎臓は「沈黙の臓器」といわれ、機能がかなり低下するまで自覚症状がほとんど出ません。症状がないことは、腎臓が正常であることの根拠にはなりません。

| 検査項目 | 基準値(目安) |
|---|---|
| クレアチニン | 男性 約0.65~1.07 mg/dL 女性 約0.46~0.79 mg/dL |
| eGFR | 60 mL/min/1.73㎡以上 |
※基準値は施設により異なります。それぞれの項目の詳しい原因や受診の目安は、以下で解説します。
クレアチニンとは?
クレアチニンは筋肉で作られる老廃物で、腎臓から排泄されます。腎機能が低下すると、血液中のクレアチニンが高くなります。
ただし、クレアチニンには「腎機能がかなり低下するまで数値が上がりにくい」という性質があります。腎機能がおよそ半分程度まで落ちて、はじめて基準値を超えてくることも珍しくありません。そのため、クレアチニンが基準範囲内でも、腎機能が低下している場合があります。クレアチニン単独ではなく、eGFRと尿検査(尿蛋白・尿潜血)をあわせて確認することが大切です。
基準値(目安):男性 約0.65~1.07 mg/dL、女性 約0.46~0.79 mg/dL(施設により異なります)
クレアチニンが高くなる主な原因
- ・慢性腎臓病(CKD)
- ・急性腎障害(短期間に急激に腎機能が落ちる状態。脱水・感染症・薬剤などが原因になります)
- ・脱水(下痢・嘔吐・発熱・夏場の水分不足など)
- ・高血圧、糖尿病による腎臓の障害
- ・お薬の影響(解熱鎮痛薬(NSAIDs)の常用、一部の抗菌薬、造影剤など)
- ・筋肉量が多い、検査前の激しい運動、プロテインやクレアチンのサプリメント(この場合は病気ではありません)
受診の目安
- ・クレアチニン高値が続いている
- ・前年よりクレアチニンが急に上がっている、eGFRが短期間で大きく下がっている
- ・eGFRも低下している
- ・尿蛋白や血尿も指摘されている
eGFRとは?
eGFR(推算糸球体ろ過量)は、腎臓がどれくらい血液をろ過できているかを示す指標です。血液中のクレアチニンに年齢と性別を組み合わせて計算した「推定値」で、クレアチニンは筋肉で作られるため筋肉量の影響を受けます。
- ・筋肉量が多い方(スポーツをしている方など)…実際よりeGFRが低めに出ることがあります
- ・筋肉量が少ない方(ご高齢の方、痩せている方、長期間寝たきりの方など)…実際よりeGFRが高め(よく)に出て、腎機能の低下が見つかりにくいことがあります
このような場合には、筋肉量の影響を受けにくいシスタチンCという検査でeGFRを評価することがあります。また、検査前の激しい運動、高たんぱくの食事、プロテインやクレアチンのサプリメントも数値に影響することがあります。
基準値(目安):60 mL/min/1.73㎡以上。60未満が3か月以上続く場合は、慢性腎臓病(CKD)の可能性があります。
eGFRが低下する主な原因
- ・加齢
- ・高血圧
- ・糖尿病
- ・慢性腎臓病
💡ワンポイント
eGFRは加齢とともに少しずつ低下し、その速さはおおよそ1年に0.5〜1程度とされています。一方で、1年で5以上下がっている、3か月以内に30%以上低下しているという場合は、加齢では説明できない変化です。「歳のせい」と自己判断せず、前年・前々年の結果と並べて確認してください。
慢性腎臓病(CKD)の重症度の考え方
CKDと診断されたあとは、原因(C)・eGFRの区分(G1〜G5)・尿蛋白/尿アルブミンの区分(A1〜A3)の3つを組み合わせて重症度を評価します(CGA分類)。eGFRが比較的保たれていても、尿蛋白が多い場合は重症度が高く評価されます。「eGFRの数字だけ」では、腎臓の状態を正しく評価できません。
⚠️腎臓の専門的な検査・治療を検討したほうがよい目安
- ・eGFRが45未満(年齢によっては60未満でも対象になります)
- ・尿蛋白が高度に出ている(尿蛋白2+以上など)
- ・尿蛋白と尿潜血の両方が陽性
- ・3か月以内にeGFRが30%以上低下している
- ・腎機能の低下に加えて、貧血・むくみ・血圧のコントロール不良がある
上記に当てはまる場合は、かかりつけ医または腎臓内科にご相談ください。
こんな方は受診をご検討ください
- ✅ 健康診断で「要再検査」「要精密検査」と判定された
- ✅ クレアチニンやeGFRの異常を指摘された
- ✅ 尿蛋白や血尿も指摘されている
- ✅ 糖尿病・高血圧がある
- ✅ eGFRの低下を繰り返し指摘されている
血糖・脂質・腎機能などの数値についてまとめてご相談されたい場合は、▶内科の診療内容はこちらからご確認いただけます。
9|尿酸(UA)の見方|痛風・高尿酸血症の指標
この章の要点
・尿酸が7.0 mg/dLを超えた状態が「高尿酸血症」です(男女共通)
・高尿酸血症(状態)と痛風(病気)は別のものです
・尿酸が高い=すぐお薬、ではありません
尿酸は腎臓から排泄されるため腎機能の影響を受けますが、健康診断で尿酸値をみる主な目的は「痛風・高尿酸血症のリスク評価」です。そのため、本記事では腎機能検査とは分けて解説します。
| 検査項目 | 基準値(目安) |
|---|---|
| 尿酸(UA) | 7.0 mg/dL以下(男女共通) |
尿酸とは?
尿酸は、体内でプリン体が分解されることで生じる老廃物です。尿酸値が高い状態が続くと、高尿酸血症や痛風の原因になります。
基準値(目安):7.0 mg/dL以下。性別・年齢を問わず、血清尿酸値が7.0 mg/dLを超えた状態を「高尿酸血症」といいます(日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」)。女性は男性より尿酸値が低いことが多いものの、診断の基準は男女で変わりません。
「高尿酸血症」と「痛風」はどう違う?
💡ワンポイント
高尿酸血症は、血液検査の数値だけで判断できる「状態」で、多くの場合、自覚症状はありません。一方痛風は、尿酸が結晶となって関節にたまり、足の親指の付け根などに激しい痛みと腫れを起こす「疾患」です。血液検査で尿酸が高いだけでは、痛風とは診断されません。逆に、尿酸値が7.0 mg/dL以下でも痛風を否定することはできません。痛風発作の最中は、尿酸値が一時的に下がることがあるためです。関節の痛みがあるときの尿酸値だけで「痛風ではない」と自己判断しないでください。
尿酸値が高くなる主な原因
- ・飲酒(種類を問わず、アルコールそのものが尿酸値を上げます。「プリン体ゼロ」でも同様です)
- ・清涼飲料水や果汁飲料などに含まれる果糖のとり過ぎ
- ・プリン体の多い食事(レバー・白子・魚卵・干物など)
- ・肥満・内臓脂肪
- ・腎機能の低下
- ・遺伝的体質
- ・お薬の影響(一部の利尿薬や少量のアスピリンは尿酸値を上げ、SGLT2阻害薬などは下げることがあります)
なお、体内のプリン体の多くは体内でつくられるため、食事だけが原因とは限りません。
放置するとどうなる?
高尿酸血症を放置すると、痛風発作・尿路結石・腎障害(痛風腎)などを引き起こす可能性があります。また、高尿酸血症は高血圧・脂質異常症・糖尿病・慢性腎臓病と合併しやすいことが知られています。
尿酸値が高いと、すぐにお薬が必要ですか?
💡ワンポイント
痛風発作を起こしたことがある方や痛風結節がある方は、尿酸を下げるお薬の対象となり、6.0 mg/dL以下を目標に管理します。症状がなくても、腎障害・尿路結石・高血圧・糖尿病・脂質異常症などを合併している場合は8.0 mg/dL以上、合併症がない場合は9.0 mg/dL以上が薬物治療を検討する目安とされています。いずれの場合も、まずは食事・飲酒・体重など生活習慣の見直しが基本です。
受診の目安
- ・尿酸値が7.0 mg/dLを超えている(特に8.0 mg/dL以上)
- ・痛風発作を起こしたことがある、尿路結石を繰り返している
- ・腎機能の低下(eGFRの低下)や尿蛋白を指摘されている
- ・高血圧・糖尿病・脂質異常症を合併している
- ・尿酸値が2.0 mg/dL以下と低い(腎性低尿酸血症の可能性があります)
⚠️ご注意ください
・痛風発作が起きている最中に、尿酸を下げるお薬を自己判断で新しく飲み始めないでください。尿酸値が急に動くことで、かえって発作が悪化することがあります(すでに継続して服用中の方は、自己判断で中止せず主治医にご相談ください)。
・関節の激しい痛みに発熱を伴う場合や、関節が赤く腫れて急速に悪化する場合は、細菌による関節炎(化膿性関節炎)など、緊急の治療が必要な病気の可能性があります。早めに医療機関を受診してください。
こんな方は受診をご検討ください
- ✅ 健康診断で尿酸値の異常を指摘された
- ✅ 足の親指の付け根などに、突然の強い痛みや腫れが出たことがある
- ✅ 尿路結石を起こしたことがある
- ✅ 尿酸値が8.0 mg/dL以上の状態が続いている
- ✅ 腎機能低下・高血圧・糖尿病を合併している
尿酸値や痛風についてご相談されたい方は、▶初診の流れはこちらをご確認のうえ、WEB予約をご利用ください。
10|血球検査(赤血球・ヘモグロビン・白血球・血小板)の見方|貧血の指標
この章の要点
・「貧血」は病名ではなく、原因を調べるべきサインです
・MCV(赤血球の大きさ)を見ると、貧血のタイプの見当がつきます
・自己判断で市販の鉄剤だけを飲み始めるのは避けてください
健康診断では、肝機能や血糖値だけでなく、血液そのものの状態を調べる検査も行われます。これらの検査では、貧血・感染症・炎症・血液疾患などの可能性を確認することができます。健康診断で異常値を指摘されても、必ずしも病気とは限りませんが、原因によっては詳しい検査が必要となる場合があります。
赤血球(RBC)とは?
赤血球は、肺で取り込んだ酸素を全身へ運ぶ細胞です。赤血球数が少なくなると酸素を十分に運べなくなり、貧血の原因となります。一方、多すぎる場合には脱水や喫煙、まれに血液疾患などが原因となることがあります。
| 性別 | 基準値 |
|---|---|
| 男性 | 430~570万/μL |
| 女性 | 380~500万/μL |
※施設によって基準値は異なります。
赤血球が少なくなる主な原因
- ・鉄欠乏性貧血
- ・月経による鉄不足
- ・慢性出血
- ・腎疾患
- ・血液疾患
赤血球が多くなる主な原因
- ・脱水
- ・喫煙
- ・高地での生活
- ・睡眠時無呼吸症候群
- ・真性多血症(まれ)
赤血球やヘモグロビンが基準を大きく超えている場合(おおよそヘモグロビンが男性16.5 g/dL以上、女性16.0 g/dL以上)は注意が必要です。多くは脱水や喫煙、睡眠時無呼吸症候群によるものですが、真性多血症という骨髄の病気の場合、血液が濃くなって脳梗塞や心筋梗塞などの血栓症を起こしやすくなります。いびきや日中の強い眠気を伴う場合は、睡眠時無呼吸症候群の検査も検討してください。
受診の目安
- ・赤血球数の異常が続いている
- ・ヘモグロビンも異常
- ・めまい・動悸・息切れがある
💡ワンポイント
赤血球だけではなく、ヘモグロビンやヘマトクリットも合わせて評価することで、より正確に貧血の有無を判断できます。
ヘモグロビン(Hb)とは?
ヘモグロビンは赤血球の中に含まれるタンパク質で、酸素を運ぶ役割があります。健康診断では、貧血の有無を判断するうえで最も重要な検査項目の一つです。
| 性別 | 基準値 |
|---|---|
| 男性 | 13.0 g/dL以上 |
| 女性 | 12.0 g/dL以上 |
ヘモグロビンが低くなる主な原因
- ・鉄欠乏性貧血
- ・月経過多
- ・消化管出血
- ・慢性腎臓病
- ・ビタミンB12・葉酸不足
放置するとどうなる?
貧血が進行すると、疲れやすい・息切れ・動悸・めまい・集中力の低下などの症状が現れることがあります。原因によって治療法が異なるため、必要に応じて追加の検査を行います。
受診の目安
- ・ヘモグロビン低値を繰り返し指摘されている
- ・「要精密検査」と判定された
- ・息切れや動悸などの症状がある
💡ワンポイント
「貧血」は、ヘモグロビンが少ない状態を指す言葉で、それ自体は病名ではありません。なぜ貧血になっているのか、原因を突き止めることが最も大切です。
⚠️貧血を指摘されたときに気をつけていただきたいこと
女性では、月経の影響による鉄欠乏性貧血が多くみられます。一方、成人男性の方や閉経後の女性で鉄欠乏性貧血が見つかった場合は、胃や大腸からの出血が原因になっていることがあります。その背景に胃潰瘍、大腸ポリープ、胃がん・大腸がんなどが隠れていることもあるため、便潜血検査や胃カメラ・大腸カメラでの確認が必要です。月経のある女性でも、子宮筋腫などの婦人科の病気や消化管の病気が隠れていないかを確認することがすすめられます。
自己判断で市販の鉄剤やサプリメントだけを飲み始めるのは避けてください。数値が一時的に改善して、原因となっている病気の発見が遅れることがあります。
MCV(赤血球の大きさ)で貧血のタイプがわかります
健診の血液検査には、赤血球1個あたりの大きさを示すMCV(平均赤血球容積、基準の目安 およそ85〜100 fL)という項目が含まれていることがあります。MCVを見ると、貧血の原因の見当をつけることができます。
| MCV | 貧血のタイプ | 考えられる主な原因 |
|---|---|---|
| 低い(およそ80未満) | 小球性貧血 | 鉄欠乏性貧血(消化管出血、月経過多など)、慢性炎症に伴う貧血、体質(サラセミアなど) |
| ふつう(およそ80〜100) | 正球性貧血 | 急な出血、溶血、腎機能低下による貧血、慢性の病気に伴う貧血、骨髄の病気 |
| 高い(およそ101以上) | 大球性貧血 | ビタミンB12・葉酸の不足、アルコールの多飲、肝臓の病気、甲状腺機能低下症、骨髄異形成症候群(MDS) |
MCVが高いタイプの貧血に鉄剤を飲んでも改善しません。むしろ原因の特定が遅れます。貧血を指摘されたら、まずタイプと原因を調べることが大切です。
白血球(WBC)とは?
白血球は、細菌やウイルスなどから体を守る免疫細胞です。感染症や炎症があると増加することが多く、逆に減少すると感染症にかかりやすくなることがあります。白血球は好中球・リンパ球・好酸球・単球・好塩基球という種類に分かれており、どの種類が増減しているか(白血球分画)によって意味が変わります。たとえば好酸球の増加はアレルギーや寄生虫、好中球の増加は細菌感染や炎症、リンパ球の増加はウイルス感染などを反映することがあります。
| 検査項目 | 基準値(目安) |
|---|---|
| 白血球(WBC) | 3,500~9,000 /μL(施設により3,300~8,600 /μLなど) |
白血球が高くなる主な原因
- ・細菌感染症
- ・炎症
- ・喫煙
- ・ストレス
- ・ステロイド薬の使用
- ・血液疾患
白血球が低くなる主な原因
- ・ウイルス感染症
- ・薬剤
- ・自己免疫疾患
- ・血液疾患
受診の目安
- ・発熱や体調不良を伴う
- ・異常値が持続している
- ・極端な高値または低値を指摘された
💡ワンポイント
白血球は風邪やストレス、喫煙などでも一時的に変動することがあります。異常値が続く場合は原因を確認するための検査が必要です。
血小板(PLT)とは?
血小板は、出血した際に血液を固める働きを持つ細胞です。少なすぎると出血しやすくなり、多すぎると血栓ができやすくなることがあります。
| 検査項目 | 基準値(目安) |
|---|---|
| 血小板(PLT) | 15~35万/μL |
血小板が少なくなる主な原因
- ・ウイルス感染
- ・肝疾患
- ・自己免疫疾患
- ・薬剤
- ・血液疾患
血小板が多くなる主な原因
- ・鉄欠乏性貧血
- ・炎症
- ・感染症
- ・血液疾患
受診の目安
- ・血小板異常が続いている
- ・出血しやすい
- ・あざができやすい
- ・健康診断で要精密検査となった
💡ワンポイント|肝臓と血小板の意外な関係
血小板は、実は肝臓の状態も反映します。肝臓の線維化(かたくなる変化)が進むと血小板が減っていくため、血小板が15万/μLを下回っている場合は、肝臓の線維化が進んでいる可能性を考えます。AST・ALTが正常でも、血小板が少しずつ減ってきている方は、一度肝臓の評価を受けてください。
なお、まれに採血管の中でだけ血小板が固まってしまい、実際は正常なのに検査上だけ低く出ることがあります(偽性血小板減少)。あざや出血の症状がまったくない場合は、別の方法で再検査すると正常であることもあります。いずれにせよ自己判断せず、再検査を受けてください。
こんな方は受診をご検討ください
- ✅ 健康診断で「要再検査」「要精密検査」と判定された
- ✅ 貧血を繰り返し指摘されている
- ✅ 赤血球・ヘモグロビンがともに低い
- ✅ 白血球や血小板にも異常がある
- ✅ めまい、息切れ、発熱、出血しやすいなどの症状がある
⚠️速やかな受診が必要な血液検査の値
次のような結果が出た場合は、「要再検査」の判定であっても様子を見ず、速やかに医療機関を受診してください。
- ・白血球が著しく多い(おおむね20,000/μL以上)、または血液像で通常は見られない細胞を指摘された
- ・白血球が少ない(おおむね3,000/μL未満、特に2,000/μL未満)。発熱を伴う場合は当日中の受診が必要です
- ・血小板が10万/μL未満(特に5万/μL未満は出血しやすい状態です)。歯ぐきからの出血、止まりにくい鼻血、広範囲のあざがあれば、その日のうちに受診してください
- ・赤血球・白血球・血小板の3つがすべて低下している(骨髄の病気の可能性があり、早急な精査が必要です)
- ・ヘモグロビンが8 g/dL未満、または短期間で急激に低下している
- ・貧血に加えて、黒い便(タール便)や血便がある、息切れや動悸が強い
※これらの数値は目安です。この範囲に入っていなくても、前年から大きく変化している場合や症状がある場合は受診してください。
11|健康診断で異常値を指摘された方へ|当院での診療の流れ
健康診断で「要再検査」「要精密検査」と判定された場合は、結果票をご持参のうえ、ご相談ください。当院では、健康診断結果をもとに必要な検査や治療をご提案しています。
① 健康診断結果の確認
まずは健康診断の結果票を確認し、異常となった項目・判定区分・前年との比較などを確認します。
② 医師による診察
生活習慣や既往歴、ご家族の病歴、お薬の服用状況などを伺い、異常値の原因として考えられることを整理します。
③ 必要に応じて追加検査
異常値の内容に応じて、血液検査・尿検査・心電図・胸部レントゲン・腹部超音波検査(必要に応じて連携医療機関をご案内)などを行います。
④ 治療・生活習慣改善のご提案
検査結果をもとに、食事療法・運動療法・定期的な経過観察・お薬による治療など、一人ひとりに合わせた治療方針をご提案します。
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当院・池袋駅前内科・皮膚科クリニックの特徴
- ・駅から近く通院しやすい 池袋駅東口から徒歩約3分、西武池袋線西武口から徒歩2分の立地にあり、通院しやすい環境です。
- ・土日診療・夜間診療 平日は20時まで、土日も診療を行っているため、仕事や予定の合間にも受診しやすい体制です。
- ・WEB予約・WEB問診に対応 事前に予約や問診を済ませることで、来院時の流れがスムーズになり、待ち時間の負担軽減にもつながります。
- ・内科・皮膚科・形成外科それぞれに女性医師が在籍 デリケートなお悩みも相談しやすい体制です。
- ・日常の延長で通いやすい環境 キャッシュレス決済にも対応しており、無理なく通院を続けやすい環境づくりを大切にしています。
- ・健診結果を踏まえた総合的な確認体制 健診結果表をお持ちいただければ、肝機能・脂質・糖代謝・腎機能・尿酸・血液検査など複数項目にまたがる異常値についても、当日中に医師が数値を確認し、必要な追加検査や治療方針をご案内します。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 「要再検査」と言われたら、すぐ受診すべきですか?
「要再検査」は、同じ検査をもう一度行い、本当に異常があるかを確認するための判定です。一時的な体調や食事、運動などの影響で異常値となることもありますが、病気が隠れている可能性もあります。自己判断で放置せず、健康診断を受けた医療機関や、かかりつけ医へ相談することをおすすめします。
Q. 「要精密検査」と「要再検査」は何が違うのですか?
「要再検査」は、同じ検査を再度行い、異常値が続いているか確認することが目的です。一方、「要精密検査」は、異常値の原因を詳しく調べるために追加の検査が必要な状態を指します。例えば、血液検査の再検査だけでなく、腹部超音波検査やCT検査、内視鏡検査などが必要になることがあります。
Q. 異常値があるのに症状がない場合も、受診すべきですか?
はい。脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病、脂肪肝などは、初期にはほとんど自覚症状がありません。症状がないからと放置すると、気付かないうちに病気が進行してしまうことがあります。健康診断で異常を指摘された場合は、自覚症状の有無にかかわらず、一度医療機関で相談することをおすすめします。
Q. 健康診断の前日に食事をすると、結果に影響しますか?
食事の内容や、採血までの時間によっては結果に影響することがあります。特に中性脂肪(TG)と血糖値は食事の影響を強く受け、食後は高くなります。一方、同じ脂質でもLDLコレステロールは1回の食事による変動が比較的小さく、血糖の状態をみるHbA1cは過去1〜2か月の平均を反映するため、前日の食事ではほとんど変わりません。ただし、中性脂肪が著しく高いときは、計算で求めるLDLコレステロールの値が当てにならないことがあります。採血前に飲食をした場合は、その旨を医師にお伝えください。
Q. 異常値があれば、すぐに薬が必要になりますか?
必ずしもそうではありません。異常値の程度や年齢、これまでの病歴、ほかの検査結果などを総合的に判断し、まずは食事や運動などの生活習慣の改善から始める場合も多くあります。一方で、基準値を大きく超えている場合や、高血圧・糖尿病・喫煙・ご家族の病歴などが重なり、将来の心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高いと考えられる場合には、早い段階からお薬による治療をおすすめすることがあります。どの項目が、どの程度異常なのかによって判断は変わりますので、自己判断せず医師にご相談ください。
Q. 脂肪肝は血液検査でわかりますか?
血液検査だけでは診断できません。AST・ALTの上昇は「肝臓の細胞が壊れている」というサインで、その原因が脂肪肝かどうかを確かめるには腹部超音波(エコー)検査が必要です。また、AST・ALTが基準値内でも脂肪肝が存在することがあります。逆に、肝臓の線維化が進むとAST・ALTはかえって下がることもあるため、数値だけでは判断できません。
Q. 尿酸値が高いと、すぐにお薬が必要ですか?
必ずしもそうではありません。痛風発作を起こしたことがある方は尿酸を下げるお薬の対象となりますが、症状がない場合は、腎障害・尿路結石・高血圧・糖尿病などの合併症があれば8.0 mg/dL以上、合併症がなければ9.0 mg/dL以上が薬物治療を検討する目安とされています。いずれの場合も、まずは飲酒・食事・体重などの生活習慣の見直しが基本です。
Q. eGFRが少し低いと、腎臓が悪いのでしょうか?
eGFRの数値だけでは判断できません。慢性腎臓病(CKD)は、尿蛋白などの腎障害を示す所見、またはeGFR 60未満が3か月以上続いていることで診断されます。逆に、eGFRが60以上でも尿蛋白が出ていればCKDにあたります。健診結果は、必ず尿検査の結果とあわせてご確認ください。
Q. 「糖尿病の疑い」と言われたら、もう糖尿病ですか?
健康診断1回の結果だけで糖尿病と確定することはできません。血糖値の基準(空腹時126 mg/dL以上など)とHbA1c 6.5%以上が同じ採血で同時に確認された場合は診断できますが、どちらか一方だけの場合は別の日に再検査を行って判断します。HbA1cを繰り返し測るだけでは診断できません。
Q. 貧血と言われたら、市販の鉄剤を飲んでもよいですか?
自己判断で飲み始めるのは避けてください。「貧血」は病名ではなく、原因を調べるべきサインです。特に成人男性や閉経後の女性では、胃や大腸からの出血が原因のことがあります。また、MCV(赤血球の大きさ)が大きいタイプの貧血には鉄剤は効きません。まず原因を調べることが大切です。
まとめ
健康診断の血液検査は、自覚症状のない病気を早期に発見するための大切な検査です。異常値が見つかったからといって、すぐに病気と診断されるわけではありません。しかし、そのまま放置すると、生活習慣病や慢性疾患が進行してしまうことがあります。
特に、肝機能障害・脂質異常症・糖尿病・慢性腎臓病・高尿酸血症・貧血などは、早期に対応することで改善や進行予防が期待できます。健康診断で「要再検査」「要精密検査」「要医療」と判定された場合や、前年より数値が悪化している場合は、自己判断で様子を見ず、一度医療機関へ相談しましょう。
健康診断で異常値を指摘された方は当院へご相談ください
池袋駅前内科・皮膚科クリニックでは、健康診断で異常値を指摘された方の診察・再検査・生活習慣病の治療を行っています。次のような方は、お気軽にご相談ください。
- ・健康診断で「要再検査」「要精密検査」と判定された
- ・血液検査の結果について詳しく説明を受けたい
- ・肝機能やコレステロール、血糖値などの異常を指摘された
- ・健康診断結果を持参して相談したい
- ・生活習慣病の予防や治療について相談したい
結果票をご持参いただければ、検査結果をわかりやすくご説明し、必要に応じて追加検査や治療をご提案いたします。なお、健康診断で「要再検査・要精密検査」と言われた際の全体的な考え方については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
▶健康診断で「要再検査」と言われたら?放置のリスクと受診の目安はこちら
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本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個々の症状に対する診断・治療を保証するものではありません。記載内容は掲載時点の情報に基づいており、検査基準値や医学的知見は今後変更される可能性があります。ご自身の健康状態について気になる点がある場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。
最終更新日:2026年8月20日
この記事の監修医
永松 裕紀 医師
池袋駅前内科・皮膚科クリニック 院長
東京医科大学医学部医学科卒業後、東京医科大学八王子医療センターおよび国際医療福祉大学三田病院にて、呼吸器外科診療に従事。